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企業の価値はどう決まる?M&A(エムアンドエー)における企業価値評価の算定方法

M&Aにおいて「企業の価値」はどのように決まるのでしょうか。

今回はM&Aにおける企業価値評価の算定方法について徹底的に解説します。

企業価値評価とは

そもそも企業評価とは何をさすのでしょうか。

ある特定の会社の業績やノウハウなどからなる価値や、株式の価値を算定する方法を

「企業価値評価」といいます。

上場企業の場合には、株式の評価は明らかですが、非上場企業の場合はその価値を客観的に知ることは難しいです。

しかし、M&Aではこれまで不確かだった自社の価値を明確に算出する必要があります。

企業買収のM&Aにおいて、企業価値評価が重要な目安の1つになることは言うまでもありません。

以下ではさらに詳しく解説していきます。

上場企業、非上場企業の評価の違い

まず知っておく必要があることは、上場企業と非上場企業とでは企業価値評価の算定方法には違いがあるということです。

●上場企業の場合

上場企業の場合は、株価が公開されています。

基準価値は、株価に発行済み株式数を掛けた「時価総額」となります。

●非上場企業の場合

非上場企業の場合は株式が市場に出回っていません。

そのため、上場企業のように基準になる株価はなく、評価は難しくなります。

それでは、そうした非上場企業の株価を算出するにはどのような方法があるのでしょうか。

次の方法が代表的です。

●DCF法(インカムアプローチ)

●コストアプローチ

●配当還元法

●マーケットアプローチ

企業の特性は業種などで多種多様です。

こうした算定方法をもとに、さまざまな要因から総合的に判断します。

大企業のM&Aでは、マーケットアプローチとインカムアプローチが主に利用されます。

中小企業のM&Aではコストアプローチを採用することが一般的とされています。

理由としては、マーケットアプローチでは、中小企業と同様のビジネスモデルで、規模も同じくらいの上場企業を探すことが困難であること。

インカムアプローチでは、中小企業で将来の収益を予測することが簡単ではなく、適正価値を算定することが難しいことがあげられます。

企業の評価方法1:DCF法とは

DCF法は企業価値の評価方法の代表格です。

DCFがDiscount Cash Flowの頭文字を取ったものです。

事業によって生まれる期待キャッシュフロー全体を割引率で割り引くことで、企業価値を算出します。

企業価値の算出式は以下のようになります。

●企業が生み出すフリーキャッシュフローの期待値を加重平均資本コストで割り引いた現時点での価値

フリーキャッシュフローとは「債権者と株主に配分可能なキャッシュフロー」を指します。

先ほど述べた事業によって生み出されるキャッシュフローのことです。

フリーキャッシュフローは

●営業利益×(1-法人税率)÷減価償却費-運転資本増加額-設備投資額

●営業活動のキャッシュフロー+投資活動のキャッシュフロー+利息支払額×(1-法人税率)

で算出することができます。

DCF法で企業の価値を評価する場合のポイントは

●将来のキャッシュフローをいかにして見込むか

●割引率である資本コストの価格をどの程度とみなすのか

●企業の成長率の見込みをどうするのか

といった不確定な要素を仮定することで計算していきます。

企業の評価方法2:コストアプローチとは

企業が保有する資産や負債を基準に、株式を計算する方法を「コストアプローチ」といいます。

企業の純資産を基準に算出していることが特徴です。このため、客観性の高い評価をすることができます。

具体的なコストアプローチの方法について解説していきます。

●簿価純資産法

簿価純資産法は、帳簿価格を基に計算する方法のことです。

帳簿に記載されている数値に基づいて計算するため、客観性が高いという利点があります。

●時価純資産法

時価純資産法は、企業の資産や負債の項目を「時価」に置き換えて算定する方法のことです。帳簿の資産や負債を「時価」に改めることで、現在の企業価値を考慮しながら算定することが大きなメリットです。

しかし、既存の資産や負債にのみ着目するため、将来の収益力については評価の対象外となります。

●時価純資産に営業権を可算する

時価純資産に企業ののれん代である営業権を加算することで、株式価値を算定します。

のれん代とは、これまで企業が築き上げてきた企業ブランドなどのことを指します。

これにより、企業の収益力を考慮しつつ企業価値を算定できることから、中小企業のM&Aで広く採用される手法となっています。

企業の評価方法3:配当還元法

配当還元法は、DCF法と同じインカムアプローチのことです。

企業が将来的に配当できる金額を期待学として、それを基準に企業価値を算定します。

基本的な理論はDCF法と同じといえます。

しかしながら、企業が行っている配当の方法によって金額が変動します。

配当還元法は、株式の非公開企業や株主が少人数で構成されている企業で利用されるケースが多いです。

これらの企業は配当金が変動しにくいため、配当還元法を利用しやすいためです。

大企業の場合は、配当金額を的確に数値化することが難しいことから、この方法は不向きとされています。

企業の評価方法4:マーケットアプローチとは

マーケットアプローチとは、評価対象となる企業の企業価値を、同じような上場企業の財務状況を参考にして評価する方法のことです。

上場企業の財務状況を参考にすることで客観性があるとされています。

しかし、同党の上場企業を探すことが難しいこと、そしてその選び方に選んだ人の意思が介入してしまう危険性があるといった問題があります。

マーケットアプローチは以下の比較方法があります。

●類似取引比較法

類似取引比較法は、過去のM&Aの事例を参考にしながら、株式価値や企業価値を基準にして算定する方法のことです。

しかし、この方法が用いられるケースは珍しいです。

非上場の中小企業の情報を集めることが難しいためです。

●類似企業比較法

類似企業比較法はマーケットアプローチの代表的な手法です。

対象企業と類似の上場企業を選び、株式価値や財務指標を参考に企業価値を算出します。

以下では、類似企業比較法で用いられる指標について解説します。

●EV/EBIT倍率

企業価値を利払い前と税引前利益で割り引いた倍率のことです。

●EV/EBITDA倍率

企業価値を利払い前、税引前、減価償却前、その他の償却前利益で割り引いた倍率のことです。

●PER

株価を一株当たりの利益で割り引いたものです。

●PBR

株価を一株当たりの純資産で割り引いたものです。

マーケットアプローチではこうした指標を基に、企業価値を算定していきます。

まとめ

ここでは、M&Aを実施するうえで欠かせない、企業価値評価の算定方法について紹介しました。

DCF法(インカムアプローチ)、コストアプローチ、配当還元法、マーケットアプローチが代表的な方法です。

それぞれに、大企業で取り入れられているものや、中小企業に向いているものなど、算定方法の性質は異なります。

今回は、簡単な計算式や指標についてご紹介しました。

もちろん本格的にM&Aを検討するには専門家からアドバイスを受けることが欠かせません。

無料で企業価値評価を行っている会社もありますので、一度相談してみましょう。