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メジャーなM&A(エムアンドエー)手法「合併」を徹底解説!種類やリスク、手法を紹介します

近年は日本国内でも、企業規模を問わずM&Aが一般的に行われるようになってきました。

M&Aにはさまざまな手法があります。その中でも今回は特にメジャーな「合併」について徹底的に解説します。企業合併の種類やリスク、手法の理解を深めましょう。

合併とは

M&Aの手法の1つである「合併」とは、2社以上の複数の企業が1つの会社になることで、いずれかの企業、または全ての会社を消滅させた上で、存続企業や新規に設立した企業に消滅企業の事業を引き継いでもらいます。

合併では会社の株式、組織、人材などのあらゆる資産は1つの会社に統合されます。

会社法第749条には合併を行う際に「合併の当事会社の商号や住所、合併対価に関する事項など定める必要がある」としています。

買い手・売り手双方にメリットをもたらす合併ですが、事前の手続き事項も多いので専門家に相談するなどしながら、しっかりと準備を進めましょう。

合併の種類

合併は、大きく以下の2つの種類に分けることができます

・新設合併

・吸収合併

吸収合併と新設合併の違いは「消滅する会社」のあり方です。

①新設合併とは何か?

まずは、新設合併について紹介します。

新設合併とは、合併に参加する全ての会社が消滅させて、消滅した会社の人材や組織など、権利義務の全てを新設した会社に承継させるM&A手法です。

合併に伴い消滅した会社の経営陣や株主たちは、新設会社の株式などを受け取ることができます。

②吸収合併とは何か?

続いて、吸収合併について紹介します。

吸収合併とは、2つの企業のうち1社を解散し、権利義務を残った1社の存続企業に承継させる合併のことです。

全ての会社が消滅する新設合併との違いは「存続する会社があるか無いか」という点です。

消滅企業の株主は、存続企業の株式を受け取ることができます。

吸収合併のメリット・デメリット

吸収合併には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

買い手企業や売り手企業だけでなく、社員の待遇も合わせて詳しく解説します。

吸収合併は多くの場合、中小企業の後継者問題を乗り越えるために活用されます。

ただ、消滅会社で勤務する社員たちの中には、今後の待遇が変わることを心配に思うでしょう。消滅会社の従業員の待遇や、吸収合併後の給与や手続きなどについて紹介します。

吸収合併とは、消滅会社(被合併会社)のあらゆる権利義務が合併会社に承継されるM&Aの手法です。

「あらゆる権利義務」には、消滅会社での雇用関係や就業規則、労務協定などが含まれます。このことから、合併会社にこれまでの勤続年数なども引き継がれると考えていいでしょう。つまり、吸収合併で従業員が直ちに解雇されるということはありません。

あらゆる権利義務が存続会社に包括的に承継されると紹介しました。しかし、そのままでは存続会社の中に複数の労働条件が存在することになってしまいます。

煩雑な業務を避け、効率化を図りたい企業は、そうしたものをいずれは統合する必要があります。大抵の場合、統合するプロセスの中で緩和期間を設けるといった措置をとることが一般的です。

しかし、吸収合併を行う際には、社員への告知義務が法律で定められていないということを知っておきましょう。

もちろん従業員にこの先も働いてもらい続けるためにも、企業側はいずれは告知し、雇用契約などについて話し合うことが求められます。不要な労務紛争などを避けるためにも企業側は告知の時期などについて事前に専門家に相談しておくことが必要でしょう。

吸収合併のメリット

吸収合併は、複数の企業のうちの1社にあらゆる権利義務を集約させ、その他の企業は消滅するM&Aのことです。

まず買い手企業のメリットについて解説します。

①手続きが少ない

吸収合併の買い手企業のメリットは、新設合併と比べ手続きが少ないことです。

吸収合併では、消滅会社の権利義務が包括的に承継されるため、許認可などを再申請する必要はありません。

②課税コストを抑えることができる

吸収合併では、合併後に増資した資本金のみに課税されます。新設会社は資本金の全額に課税されることから、新設合併と比べ課税コストを抑えることができます。

次に売り手企業のメリットを紹介します。

③買い手企業のブランド力や信頼を得られる

吸収合併では、買い手企業(存続会社)が規模の大きい会社である場合が多いです。

買い手企業の子会社になることで、親会社のブランド力や信用を活用し、より良いサービスの提供につなげやすくなります。

④債務処理の不安が軽減される

吸収合併されることで買い手企業は、売り手企業の負債も含めて全てを引き継ぐことになります。これにより、合併後の売り手企業は、これまで抱えていた債務処理の心配を軽減できます。

吸収合併のデメリット

もちろん、吸収合併にはデメリットも存在します。

まずは買い手企業のデメリットを紹介します。

①負債などのリスクを引き受けなければならない

買い手企業は、売り手企業のノウハウだけでなく、負債も同時に引き受けなければなりません。

②買収の現金を用意しなければならない

売り手企業が非上場企業の場合、売り手側に現金を用意する必要があります。

次に売り手企業のデメリットを紹介します。

③受け取った株式の現金化が困難

売り手企業は、買い手企業から株式を受け取った場合、その現金化が難しいことがあります。まとまった現金が必要な場合は、契約時にそうした取り決めを結んでおくことが不可欠です。

新規合併のメリット・デメリット

新設合併にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

吸収合併が合併で一般的に用いられるのは、新設合併に伴うデメリットが原因とされています。新設合併ならではのメリットも合わせて詳しく解説します。

社員の待遇は新設合併でどう変わる?
一方の会社に取り込まれてしまう吸収合併では、消滅会社の経営陣や従業員が、会社の方向性の違いなどを不安視し、合併にマイナスのイメージを持つ場合があります。

一度会社が消滅してしまう新設合併では、消滅会社が別会社の傘下に入るのではなく、存続会社の社員となります。心機一転して新しい会社で勤務することになるため、社員が待遇格差などのネガティブな感情を持ちにくくなる可能性が高まります。

新設合併のメリット

新設合併とは、合併に参加する全ての会社が消滅し、新設会社に事業などを取り込むM&Aの手法です。

まずは新設合併のメリットについて紹介します。

①事業規模の拡大により成長が見込める

複数の企業が新設合併することで、会社の事業規模が拡大します。

また、新しいノウハウや販路などを獲得することができ、全体の生産能力や販売能力を強化されます。シナジー効果も含めて、中長期的に会社の成長を見込むことができます。

②後継者問題の解消

新設合併で、企業の後継者問題を解決することができます。

新設合併では、参加する全ての会社は消滅することになりますが、これまで培ったノウハウや技術を新会社に受け継いでもらうことができ、実質的に存続することが可能です。

新設合併のデメリット
新設合併は、吸収合併と比べて、活用される機会が少ないです。

それは、メリットよりもデメリットを不安視する人が多いからです。

①煩雑な手間がかかる

吸収合併では、存続会社が許認可などを保有していますが、新設合併では、そうした許認可が一切ありません。そのため、許認可や資格を再び取得する必要があります。

上場企業であれば、上場審査を改めて受け直す必要があるなど、事務手続き上で煩雑な手間がかかってしまいます。

②課税コストがかかる

吸収合併では、合併後に増資した資本金が課税対象となりますが、新設合併では全ての資本金が課税対象となります。合併規模が大きいほど、ここの金額が膨らむ可能性が高いことは大きなデメリットと言えるでしょう。

③現金を合併の対価として受け取れない

新設合併を実施した場合、売り手企業に支払われる対価は、株式や社債が交付されます。現金が必要な場合は、事前に株式を買い取ってもらう契約を結ぶことが不可欠です。

まとめ

そもそも合併とは何か、そして、吸収合併や新設合併について見てきました。

合併は企業の新たな成長戦略を描く起爆剤にもなり得ます。

吸収合併か新設合併のどちらを選ぶかで、得られるメリットなどが変わってくるので、今の環境でベストな選択肢は何かをしっかりと見極める必要があります。