記者:
コンテンツ

M&A(エムアンドエー)とは?手法や流れをわかりやすく解説

M&Aとは「Merges(合併)」and「Acquisitions(買収)」の略語です。

今回はM&Aの売り手と買い手企業の目的、手法、契約成立までの流れを分かりやすいく解説します。

M&Aの検討をされている方はぜひご一読ください。

売り手の目的

中小企業の経営者年齢の分布について見てみると1995年の経営者年齢のピークが47歳であったのに対し、2015年の経営者年齢のピークは66歳と経営者年齢の高齢化が進んでいます(出典:2017年版中小企業白書)。

同時に、企業の経営者の高齢化が進む中で後継者不足が深刻化。

親族内承継や優秀な社員に事業を継いでもらうケースもありますが、それでも有力な候補が身近にいない場合、事業承継を目的にM&Aが大きな選択の一つに加わります。

M&Aを活用した事業継続をすることで、これまで培ったノウハウや技術を残せて従業員の雇用を確保することが可能になるのです。

売り手の目的2:重要な事業への選択と集中

企業の経営資源のヒト・モノ・カネは有限です。

利潤を求める中で重要な事業とそうではない事業を選別することで「選択」と「集中」を行うことが企業の成長の重要な鍵につながります。

経営戦略の中で重要度が低いと判断した事業を売却し、そこで得た新たな資本で自社の重要な事業に投資することで事業の拡大を図る企業は少なくありません。

加えて、売却によって資金を獲得するだけでなく人材を重要事業に集中できるため、よりサービスの質を高めることにつながる可能性を広げられます。

売り手の目的3:資金調達

企業の成長を支える重要な事業へ投資するための資本や新規事業、また業績が不調の事業の改善を図るためにM&Aを実施して資金を得るケースがあります。

また、資金繰りに苦慮し実施する企業もあります。

資金調達を目的としたM&Aの場合、重要な事業への集中投資を目的としたものとは異なり、業績が伸びている事業を高値で売却することを視野に入れているものもあります。

獲得した資金で新規事業に乗り出すなど、新たな企業展開を拓くきっかけにしようとする企業もあります。

売り手の目的4:生き残り戦略

市場環境の変化が激しい現代ではオンリーワンの優れた技術やノウハウを持っていたとしても、後発の経営資源が豊富な大企業に模倣される可能性があるなど、今後、想定される企業間競争に頭を悩ませる事業主もいます。

そこで、主に中小企業が生き残る戦略として、大手企業の傘下に入るM&Aを選択するケースがあります。

大手企業の参加し、豊富な資金やブランド力、知名度を活用することで厳しい市場競争の中で生き残るためにM&Aを活用するのです。

■チェックポイント


買い手の目的

次にM&Aの買い手の代表的な目的をご紹介します。

買い手の目的1:事業規模の拡大と強化

一般的なケースでは、自社企業の事業規模の拡大と強化を目的にM&Aを実施します。

自社で時間と資金を投じて人材を育成したり、技術を磨いたりするのではなく、すでにある人材や技術を買収することでより効率的に企業経営することが求められるケースがあります。

また、買収を繰り返し、事業規模を拡大することで早い段階でその市場において有利な立場に立つことも可能です。

収益性を高めると共に、より迅速に自社企業にはないノウハウや技術を獲得することを優先したい場合、M&Aで事業を買収することは有力な手段の1つとなります。

買い手の目的2:事業の多角化戦略

めまぐるしく変化する市場の中で常に最適な状態を目指すには、現在の事業範囲に固執するのではなく、柔軟に領域を拡大したり、新規事業に参入したりすることも求められます。

例えば、新規事業を発足し0から事業を育て、大きくしようとする場合には、収益化するまでには時間がかかります。

より迅速に、かつ効率的に新規事業に参入し収益化を図るためM&Aは有効な手段となります。

買い手の目的3:海外進出

企業が海外の市場に進出するために、進出を希望する国の現地法人をM&Aで買収するケースが当てはまります。

海外進出には、海外市場のマーケティング調査から、現地子会社を設立するための煩雑な業務を行う必要があります。

それら全てを自社で行っていると、貴重な時間を浪費してしまう可能性があります。

そこで、実際に現地で販路を持ち、その土地の商習慣などを熟知している現地企業をM&Aで買収し、事業を展開することでその時間や人的コストのロスの低減につなげるのです。

■チェックポイント


M&Aの手法

M&Aには「業務提携」や「資本提携」、「分割」、「買収」、などの形態があり、目的によって異なります。

例えば、「業務提携」とは、企業の持つノウハウや技術を共有し、ある特定の分野において企業間で協力することで、資本の移動は伴いません。

互いの企業の独立性を維持しながら研究開発や生産、販売で提携することができます。

また、「資本提携」とは、企業間で株式を持ち合うことで協力関係を強化することです。

他者の技術やノウハウを取り入れながら協同で業務を行い、業務の付加価値を高めるとともに効率化を図ります。

資本提携は株式が移動するため、業務提携よりも深い連携を取りながら業務を行うことが可能。

例えば、対象となる会社の独立性を維持など考慮することができ、より柔軟な連携を図ることができます。

ここでは、特に活用されることが多い「合併」、「買収」、「事業譲渡」、「株式譲渡」を、より詳しく見ていきましょう。

合併

M&Aにおける「合併」とは、2つ以上の複数の企業が1つの企業に統合されることをいいます。

M&Aの手法としては、最も買い手と売り手の結合力が強いものとなります。

合併は「新設合併」と「吸収合併」に大別することができます。「新設合併」の場合、合併しようとする企業は、解散(消滅)します。

そして新たに会社が設立され、解散した企業のヒトやモノなどの資産を受け継ぎます。しかし、その手続きは煩雑で、あまり例がない合併の手法となります。

一般的な合併は「吸収合併」が主流となります。

1社が残り、その他の会社は解散します。

株式会社の場合だと、解散企業と存続企業の株式を交換し、解散する企業の株主の所有する株に対して、存続企業の株式を何割かを当てます。(割当比率)

買収

M&Aにおける「買収」とは、一方の会社が他方の会社の株式を買い取ることをいいます。

この場合、買い取られる会社は解散することなく存続します。

ここで注目しなければならないのは、買収した企業が被買収企業の株式の何%を取得したか、ということでその割合で会社への影響力に違いが生じます。

この買収にはさまざまな手法がありますが、その中で、株式を取得する方法の「株式譲渡」、事業を取得する「株式譲渡」について詳しく解説していきましょう。

事業譲渡

事業譲渡とは、会社事業の一部またはすべてを第三者に譲渡することです。

営業目的のための財産のことを事業といいます。

人材はもちろん、知的財産や顧客リスト、契約などの無形財産も含みます。

会社の譲渡の場合、譲渡の対価は株主に支払われます。

一方で事業譲渡では、譲渡対価は会社に支払われます。

契約によって、「譲渡するもの」と「しないもの」を分けることができるため、譲受企業は、簿外債務などを引き受けるリスクを低減することができます。

このように、事業の選択と集中や譲渡した資産の序と損を活用することで法人税を軽減できますが、負の資産や不採算の事業が残ってしまった場合にはその処理が負担になるなどのデメリットもあります。

株式譲渡

株式譲渡とは、譲渡企業の株主が保有する株式を第三者に譲渡することをいいます。

これにより会社の経営権を譲受企業に譲り渡します。これは、株主が交代するだけで、会社名や債権、取引先との契約関係などの資産はすべて引き継がれます。

そのため株式譲渡では対外的な変化は少なく、円滑に経営権を第三者に移行することが可能。

このように、手続きが比較的簡単なことや従業員や企業のノウハウや技術、取引関係がそのまま引き継がれること、経営者個人が対価を直接得られることといったメリットがあります。

一方で、業界内の風評に影響することもありますので十分に検討する必要があるでしょう。

M&Aの流れ

ここではM&Aまでの「準備」、「交渉」、「契約」、「完了」までの4つのステップを見ていきます。

準備

M&Aの準備とは、M&Aの相手先を選定するまでの流れのことをいいます。

一般的にはM&Aの仲介会社に依頼する場合が多いです。

売り手は、M&Aが成功する可能性や売却価格の目安を確認。

買い手は費用や最適な買収の相手を探します。

その後、売り手は自社や売却したい事業の資料提供や企業の詳細な情報を示す「ノンネームシート」を作成し、交渉へ移行します。

交渉

交渉ではノンネームシートをもとに、買い手側が買収をするかの選定をします。

その後、売却、買収する双方の経営者の面談を実施。ここでの目的は企業間の信頼関係や企業の持つ価値観への理解が主な目的です。

そこで一定の合意が得られたら、より具体的な条件交渉へと移ります。

契約

双方の希望条件がある程度一致した時点で、基本合意書を結びます。

また、M&Aに伴い、従業員や取引先を動揺させないために秘密保持契約(NDA)も同時並行で締結します。

競合他社が妨害してくる可能性を考え、関係者への公表は制約するまで秘匿する必要があるのです。

基本合意の締結後、買い手企業はM&Aを行う相手企業の情報を詳細に調査するデューデリジェンスを実施します。

簿外責務などさまざまなリスクをチェック。

財務や法務、人事分野などを調査し、その後、最終的な合意に向け、株価や従業員、代表取締役の処遇、譲渡代金の支払い方法などについて交渉を行います。

このようなフローを重ね、最後は株主総会での合意へとつなげていきます。

完了

契約後は組織体制や業務の整理、従業員同士のコミュニケーション・フォローが不可欠です。

これまでの価値観と異なる職場にいた従業員同士にトラブルが生じた場合、離職などにつながりかねません。

今後、企業の成長を支える従業員を失うことは企業に大きな損失をもたらしてしまいます。

■チェックポイント


M&Aの手法・流れまとめ

今回は、M&Aの成りたちから目的、手法、契約の流れまで全体像をご紹介しました。

M&Aは売り手、買い手の双方に大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。

一方で会社を支える従業員や取引企業への配慮も十分に行わなければなりません。

またM&A後も市場は常に変化し続けます。想定通りに進む保証はないので、絶えず新たなリスクへの備えを心がけましょう。